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新借地借家法の施行から10年を経て、定期借地制度は、新しい土地利用方式として広く知られるようになりました。この間、新しい住文化の創造を旗印に、近畿圏をはじめ、全国諸地域においてこの制度の普及を図る推進機構が12ヶ所誕生して今日に至っています。
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市場においても、定期借地制度によって供給された住宅の総数は戸建・集合を合わせて5万戸を上回る水準に達し、他方で事業用借地権による開発案件も多様な展開を見せています。また、定期借地制度への関心は、民間の個人・法人の土地所有者に限らず、地方公共団体をはじめ広く公共・公益を目的として土地を保有してきた諸機関や企業にも広がり、制度の定着とともにその新たな展開が見通せるようになりました。
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このような状況のもとで、私たちは、定期借地制度のもつ大いなる可能性にあらためて注目し、その一層の活用のために何をなすべきかを考えました。検討を重ねる中で、取り組むべき三つの課題があること、それぞれについて今日この呼びかけをさせていただく皆様のご意見を伺いご教示を得たいこと、そしてできるならば別記のような新しい組織の設立の趣意にご賛同を賜りたいことに一致しました。
第1は、頭記のように全国諸地域において相次いで定期借地借家権の推進機構が設立されたのに対して、首都圏においてはいまだ確たる機構が存在せず、この地域での定期借地住宅等の供給実績の伸張に関わらず組織の空白が続いていることです。首都圏に適合した地域的で広域的な活動を推進するため、共益的な組織体を作る必要があります。
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第2は、上記のような現状にかかわらず、首都圏においては定期借地制度等の存在や効用はすでによく知られるところとなり、普及・啓蒙活動に主眼をおいた初期の段階をすでに過ぎていることです。新しい組織は、住宅等の開発・供給事業における実績の増進を最重要の課題として、関係者の業務に密着した活動を行うものであるべきです。
第3は、土地の供給者と住宅等の需要者の両サイドに、定期借地等に関する市場の状況を具体的に知らせる必要があることです。供給者側には民間・公共のさまざまな土地保有者があります。また需要者側では現実の利用者だけでなく事業過程に関与する投資者も存在します。このような活動に適した情報を具へ、研究関心を有する開かれた組織を創ることが求められています。
私たちは、以上のような観点から、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木、山梨とその他周辺地域において住宅等の開発・供給に携わる事業者を中心とした「首都圏定期借地借家権推進機構」を設立することを提唱し、これに定期借地借家制度の展開に深い関心を持たれる諸分野の専門家や関係諸機関・団体のご協力を賜ることを切にお願い申し上げる次第です。
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